仕事とは何か

仕事とは何かということがここで問われています。たとえば医者になりたいとか、弁護士になりたいと言う人が多いのはなぜでしょうか。もしお金がたくさんもらえるからというのなら、それは間違いだと思います。医者という仕事はなんのためにあるかというと、人々を健康にするためです。だからお金をもらうということは二次的なことであり、医者の一番の使命は人々を病気から守り、健康にしていくことです。商売をする人も同じです。何かを売ってお金を儲けることが一番の目的ではなくて、ものをうまく流通させて必要とする人のところへ届けることが一番の使命です。だから儲けるというのは二次的なことで、自分が与えられた能力を活かして人のため社会のためにお役に立つことこそが仕事をするということであり、働くということなのです。与えればいいとガンジーは主張します。それはなぜかというと、自分が見える目や聞こえる耳を持っているとすれば、それは自分ががんばった報酬として獲得したものではなく、生まれた時から与えられていたものだからです。自由に動く手と自由に動く足もそうです。最初から与えられているものがたくさんあります。だとすれば、与えられているものを活かして、人々のために働いて何かを与えていくということが本来の「生きる」ということだとガンジーは言うのです。そしてそういうことに目覚めてから、そこを土台にした独立運動を展開します。ガンジーはただ単にインドが政治的にイギリスから独立することだけを目指したのではなく、この根本的なところから変革しようとしました。それがガンジーの独立運動だったのです。