格差の時代をどう生きるか

格差の現実
「還暦の貯蓄額、4人に1人、100万円未満」という記事が、2019年6月17日付の山陽新聞に載っていました。一方で、貯蓄額が1億円以上が8.1%、5000万~1億未満が6.9%だそうです。いつの間にか、格差社会になっていることが、ここからもわかります。世代間の格差も大きな問題ですが、同年齢の中にも大きな格差ができています。自己責任なのでしょうか?リストラ、本人や家族の病気、介護離職など、自己責任とは言えない原因で苦しい状況のおかれている方々も多くあるでしょう。平等を推進する政策が求められます。
第3の対処法
 しかしながら、政策の実現には時間がかかります。そのため、絶望して自殺をはかったり、やけになって腹いせに暴力をふるうということが増えているのかもしれません。しかし、絶望か、怒り狂うか、の2つの道しかないのでしょうか? 政治をすぐに変えることが難しくても、第3の道があることを、私たちは知っていく必要があります。

  •  聖書の中に次のような話があります。イスラエルの王ダビデは、先代のサウル王から嫉妬され、命をねらわれます。そして、サウルをしとめる絶好の機会がダビデに訪れました。しかし、ダビデはあえてサウルを殺すことはせず、すべてを神にゆだねました。
  •  聖書のヨブ記も、いわれのない苦しみにどう対処するかを教えています。

ガンディーが提案した信託制度 
 ガンディーは、信託制度ということを主張しました。
 資本家など、必要以上の資産を持っている人に、自らすすんでその富を手放すように勧めました。夢物語だと揶揄されることもありますが、労働者が自分の手足の価値に目覚めることができれば、これでうまくいくとガンディーは考えていました。
 労働者が手足を使って生み出した富が本物です。手足を使って富を生み出すすべを知っている労働者に恐ろしいものはありません。自らの手で衣食の必需品を生み出す術を確保できれば、奴隷のような不当な待遇には、NOということができます。労働者なしには、富を蓄えることができませんから、資本家もなす術がなくなるというわけです。

貧困から脱出する方法

 手足を使った労働を侮ってはなりません。貧困は、肉体労働を軽蔑した結果と、言えるかもしれません。

 私たちは、手足を使うことを思い出すべきです。そこに本物の自由があります。売るために作るのではありません。自分が使うために、必要な量だけ作るのです。労働力を売ってお金に代えて、それで必需品を買うのではなく、最初から必需品を作るのです。

 ただし、一人で全ての必需品を作り出すことはできませんから、仲間とつながることが大切です。互いに得意なことを生かして、仲間集団で自給ができれば、怖いものはありません。

 不当に安い賃金で長時間労働をさせられている人が多くいます。他に仕事がないから、安くても、長時間でも働くしかないと思い込んでいる人が大勢います。本当にそうでしょうか? 自分の手足で自分が使うための物を作り出していくことを忘れ、賃金労働にしか生きる道がないと思い込んだ結果ではないでしょうか? 

それでも善を選ぶ
 確かに今はひどい時代です。財政赤字のために弱者が切り捨てられています。それなのに、東京オリンピック、イージスアショア・・と、無駄遣いは止まりません。しかし、お国のために死ぬことを求められた世代もありました。いつの時代もひどいことがあるのが、この世界かもしれません。
 それでも、この世界に命が与えられたということは、このひどい世界を少しでもまともにしていくために、微力であっても最善を尽くして、この命を使い切ることが、私たちに課せられている使命ではないでしょうか?
 何かをしようと思った時に、その行為が、たとえどんなに小さくても、この世界に善をもたらすのか、悪をもたらすのかを考え、善を選ぶようにしたいものです。その小さな積み重ねが、きっと社会を良いものに変えていくことにつながるでしょう。